自動車の研究開発における色計測と白色点調整
TECHNICAL INFORMATION
技術情報
2023.02.10
加工・計測・分析
テーマ:
自動車の研究開発における色計測と白色点調整
※本記事はAdmesy Japan 合同会社より許可をいただいた上で転載しております
転載元:https://www.admesy.jp/articles/color-measurement-and-white-point-adjustment-for-automotive/
自動車業界における照明やディスプレイの品質は、設計上重要な要素となっています。照明やディスプレイから発せられる色を正確に測定することは、正確で高品質な成果を得ることに繋がります。
自動車市場では競争が激化しています。消費者は、より良い、より安全な、より信頼性の高い、より楽しいドライブ体験を提供してくれる自動車を求めています。その結果、ここ数十年の間に、自動車業界では目まぐるしい技術の進歩がありました。自動車のデザインと照明もこの流れの中にあって例外ではなく、数々の重要な技術革新が行われています。
効率とデザインを向上させる自動車用照明の研究
自動車の外部照明は、1970年代に登場したハロゲンランプ、1990年代に登場したキセノンランプ、2006年に登場したフルLEDヘッドランプと、急速に進化してきました。
LEDヘッドランプは、従来品に比べ、長寿命化、高効率化、低消費電力化が図られています。さらに、2014年に導入されたアダプティブドライビングビーム技術により、様々な運転状況にヘッドライトが自動的に適応するようになりました。
レーザー照明はヘッドライトの最新トレンドであり、LEDの数分の一の大きさのダイオードで、優れた効率、品質、性能を提供しています。1-4
内装照明もまた、自動車デザインの重要な要素となってきています。内装照明が自動車の魅力、安全性、空間の認知を向上させることが研究で示されているからです。
現在、内装照明に使用されている主な光源はLEDですが、設計の自由度を高める有機ELや小型化を実現する光ファイバーなどの研究も進められています。
現在、内装照明は優れたドライバー体験を提供することに重点を置いていますが、自律走行車の導入により、車との関わり方が完全に変わる可能性があります。6,7
デザインの検討において必要不可欠な車載照明やディスプレイの色彩品質
研究開発段階で車の部品の光学特性を測定・調整することで、高品質な製品を実現し、顧客満足度を向上させることができます。車載OEM および車メーカーは、消費者や管理当局の要求を満たすため、照明やデザインスキームを精密に検討・設定しています。
しかし、残念ながら、量産工程では、材料の構造、組成、厚みに小さなばらつきが生じ、照明や車載ディスプレイのスペクトルのばらつきや色の違いが生じることがあります。8-10
白色点の調整と色再現は、自動車の研究開発における品質管理の重要な部分です。色の測定には、色彩輝度計または分光放射計を用いて行います。11-13
色の測定-色彩輝度計と分光放射計どちらを使う?
どちらの機器も色の「正しい」測定が可能ですが、その方法は大きく異なります。そのため、測定の状況によって、最適な機器を選択する必要があります。11-13
色彩輝度計は、人間の目と同じように、一連の座標(XYZ、または赤、緑、青)に従って色を測定します。色彩輝度計で色を測定した場合、例えばCIE1931図のカラーポイントに変換できる3つの値が得られます。
色彩輝度計を用いた測定における短所は、複数のスペクトルの光を使っているのに同じ色と判断することが多いことです。したがって、色彩輝度計は複数の白色光の違いを見分けることはできませんが、これは光がスペクトル的に同じであることを意味するわけではありません。11,12
図1:CIE1931の図
分光放射計は、光源に含まれる各波長の光の強度を分散して測定し、色を「より忠実に」反映させたスペクトルを供給します。その結果、分光放射計は、同じ色に見える光のスペクトルを区別することができ、例えば、白色光の種類を区別することができます。(図2参照)11-13
図2:分光放射計で測定した複数の「白色」光源のスペクトル。画像出典:Admesy.13
どちらの光分析機器にも長所も短所もあります。分光放射計は光源をより詳細に測定することができますが、色彩輝度計に比べて高価であり、測定に時間がかかり、操作も習熟も大変であることが多いです。色彩輝度計は優れた再現性を持っています。11-13
色彩輝度計は、色の測定やルール化された比較には非常に正確です。そのため、品質管理には不可欠であり、製造時の生産・検査段階でもよく使用されます。一方、分光放射計は、より高度な特異性、柔軟性、汎用性を備えています。
分光放射計は、色の組み合わせや照明システムの開発など、自動車の研究開発プロセスにおいて理想的な汎用性のあるソリューションです。12-15
Admesy社の色測定ソリューション
Admesyでは、自動車の開発・製造などの用途に最適な色彩輝度計や分光放射計など、色と光の測定にフォーカスした機器を幅広く提供しています。
Prometheusは、完成度の高い高感度のCIE1931フィルタ特性に低ノイズの電気回路を組み合わせた、タフで使いやすいシステムの高性能な色彩輝度計を実現しています。
分光放射計を必要とするアプリケーションに対して、AdmesyではHeraシリーズとNeoシリーズの2つの選択肢をご紹介します。Heraシリーズは、高性能を維持しながらコンパクトでタフな分光測定ソリューションを提供します。Neoシリーズは、柔軟でハイエンドな分光測定ソリューションを提供します。16-17
参考文献、参考書籍
- ‘Fundamentals of Automotive and Engine Technology’ — Reif K, Springer, 2014.
- ‘A review on light-emitting diode based automotive headlamps’ — Long X, He J, Zhou J, Fang L, Zhou X, Ren F, Xu T, Renewable and Sustainable Energy Reviews, 2015.
- ‘Solid-State Automotive Lighting: Implications for Sustainability and Safety’ — Bullough JD, Sustainable Automotive Technologies, 2012.
- ‘The Next Step — Pure Laser High-Beam for Front Lighting’ — Fiederling R, Trommer J, Feil T, Hager J, Auto Tech Review, 2016.
- ‘Reality Check: Laser High Beam Performance in Real Driving Tests’ — Albrecht KF, Austerschulter A, Rosehahn EO, 11th International Symposium on Automotive Lighting, 2015.
- ‘Influence of ambient lighting in a vehicle interior on the driver’s perceptions’ — Caberletti L, Elfmann K, Kummel M, Schierz C, Lighting Research and Technology, 2010.
- ‘Effects of Automotive Interior Lighting on Driver Vision’ — Flannagan MJ, Devonshire JM, The Journal of the Illuminating Engineering Society , 2012.
- ‘Colorimetry Applications In The Automotive Industry’ — Chao MK, Hake BP, Electro-Optical Instrumentation for Industrial Applications, 1983.
- ‘ Advanced Imaging Colorimetry’ — Konjhodžić Đ, Khrustalev P, Young R, Information Displays, 2015.
- ‘11th International Symposium on Automotive Lighting’ — Khanh TQ, Herbert Utz Verlag, 2015.
- ‘Colorimetry: Fundamentals and Applications’ — Ohta N, Robertson A, John Wiley & Sons, 2006.
- ‘Measuring color in a world of light’
- ‘Spectrometry: General Spectrometry’
- ‘Visual and Instrumental Assessments of Color Differences in Automotive Coatings’ — Gómez O, Perales E, Chorro E, Burgos FJ, Viqueira V, Vilaseca M, Martínez-Verdú FM, Pujol J, Color Application and Research, 2016.
- ‘Prometheus Series Colorimeter’
- ‘Hera Series Spectroradiometer’
- ‘Neo Series Spectroradiometer’