アキシコンペアを用いたベッセルビーム生成による焦点スポットサイズと焦点深度の最適化|株式会社 ティー・イー・エム
TECHNICAL INFORMATION
技術情報
2021.06.03
光学シミュレーションソフト
テーマ:
アキシコンペアを用いたベッセルビーム生成による焦点スポットサイズと焦点深度の最適化
波動光学解析ソフトウェアVirtualLabのLightTrans社で公開されているアプリケーションユースケースを日本語訳したものを掲載しています。アプリケーションユースケースは公開当時のVirtualLabに対応しているため、最新バージョンと表示内容に差異が生じる場合がございます。
サンプルファイルダウンロードはVirtualLabアプリケーションユースケースより、同タイトルのファイルを参照してください。
アプリケーション例の要約
設定の詳細
•光源
− 非点収差 IR レーザダイオード
•構成
− ビームコリメーション用の屈折レンズシステム
− ビームコリメーション用の屈折レンズシステム
− 集光 する ための 非球面レンズ
•ディテクタ
− スポットダイアグラム
− 焦点領域の 1D および 2D での 検証
− 焦点深度 (DOF)
− ビームパラメータ
•モデリング/設計
− 光線追跡 :初期焦点位置検出
− フィールドトレーシング:ベッセルビームの実際の形状と焦点深度の計算
システムの図解
モデリングと設計の結果
VirtualLabの追加機能
この例では、次の機能の利点を挙げる。
•焦点領域解析:
― プロファイルラインディテクタ
― パラメータ実行ドキュメント
― HWxM ディテクタ
•以下のようなさまざまな有益な結果を得ることができる
— 良質なビーム:ビームサイズ、形
— 焦点深度
— 焦点領域内の光軸に沿ったビームの 伝播 を示す多様な 2D 3D 図
まとめ
•この例では、どのように焦点スポットサイズを小さくすることができるかと、対のアキシコンレンズによって 焦点深度を増加させることができるかを示した。
•焦点領域内のベッセルビームの伝播を解析した。
•VirtualLab は、 物理光学ベースのプロファイルを可能とし 、アキシコンのような特殊な構成 によって生成されたビームの焦点解析も可能 にする。
アプリケーション例の詳細:システムパラメータ
関連するアプリケーション例
この応用例は、対のアキシコンレンズによる「非回折」ベッセルビームの生成を示し、焦点スポットサイズを縮小 し、 焦点深度を増加させる。
BDS.0002 では、ビームを集 光 するために非球面レンズを使用した。この例では、非球面レンズの前にアキシコン
レンズペアを含んでいる。
設計タスク
仕様:コリメートされていない入射レーザービーム
仕様:コリメーションレンズと背後 のライト
仕様:アキシコンレンズペア
・アキシコンペアは、 2 つの 同一アキシコンタイプのレンズで構成されている。
・開き角度は通常、反時計回りとされている。
第2のアキシコンは、第1のアキシコンに平行に、光軸に沿って 20.3672mm の相対距離で配置される。 開き角度は+20°。その結果、アキシコンペアは1.0 の比を持つビーム拡張器のように機能する。
仕様:非球面フォーカスレンズ
・Asphericon の凸面非球面レンズはカタログから選択する
・モデル:ALL12-25-S-U(A12-25LPX)
アプリケーション例の詳細:シミュレーションと結果
光線追跡:ビームフォーカスの解析
フィールドトレーシング:回折ゾーン内のフィールドの計算
フィールド再構成平面
•Geometric Field Tracing Plus(GFT+)エンジンによる光の伝播は、焦点領域外では正確である。
•回折領域では幾何学的アプローチが有効ではないため、ビーム回折が顕著になる前にGFT+による 伝播を停止しなければならない。この位置(フィールド再構成平面)において、フィールドデータは、より適切な伝播技術に適切に伝えられる。
•この平面の再構成フィールドは、クラシックフィールドトレーシングを使用して いて、 焦点領
域(回折ゾーン)の内部へ伝播するために使用できる。
フィールドトレーシング:再構成平面でのフィールドの計算
・回折ゾーン内のフィールドを計算するために、非球面から18.5mmの距離にある幾何学ゾーンの終わり(=フィールド再構成平面)に、Geometric Field Tracing (1) のバーチャルスクリーンが使用される。
・アキシコンの連続的でない頂点に当たる光は、フィールドの再構築を数値的に乱すので、 絞り(2)によってブロックすべきである。
フィールドトレーシングによる回折領域内の伝播
•再構成されたフィールドは、クラシックフィールドトレーシングを用い、 回折ゾーン内のフィールドを計算する際に使用できる。
•そのために、再構築されたフィールドをStored Field Component に格納するための新しいLPDの生成が推奨される
•光学部品または検出器など様々な要素の追加が可能。ここでは、クラシックフィールドトレーシングにより、フィールドのより正確な評価が得られる。
•このLPDは、 パラメータランのような最適化および自動化ツールに使用して、検出器までの距離を様々に変えることによってビームの焦点領域を検証することが可能。
XZ平面における焦点領域の検証
•焦点領域の検証のため、前回のLPDを焦点面と再構成面との間の距離を3.8mm から4.3mm(22.3mmから22.8mmの非球面からの距離に対応する)に変化させる、パラメータランの実行に使用した。
•両方の図は、(BDS.0004)およびアキシコンペアなしの(BDS.0002)焦点領域内のx軸に沿ったビームの2乗振幅を示す。
•比較すると、アキシコンペアは、x-z平面内のビームの焦点をより小さくする。
•両図は、(BDS.0004)およびアキシコンペアなしの(BDS.0002)焦点領域内のy軸に沿ったビームの2乗振幅を示す。
•比較すると、アキシコンペアは、y-z平面内のビームの焦点も小さくする。
焦点領域におけるビーム幅
•焦点領域内のより詳細なビーム評価のために、アキシコンペアを入れる場合(BDS.0004)と入れない場合(BDS.0002)、およびガウスTEM00モードの場合の半値半幅(HWHM)を計算し比較参照する。結果は下図のとおり。
•アキシコンペアを使用することによって、焦点スポットサイズおよび焦点深度が測定可能なほどに改善されることが明確に分かる。
•理論上ではアキシコンは理想的なベッセルビームを生成する。これらのビームは、焦点領域内のある距離までは「回折しない」という特性を有する[1]
•その結果、ベッセルビームは、焦点領域内の焦点深度がより大きく、同様のビームサイズのガウシアンビームのような発散は低減される。
•比較する際、焦点深度は距離として定義され、ビームウエスト(HWHMとして定義
される)は2の係数で増える。
DOF =√2・HWHM
•焦点深度の比較には、ガウスTEM00モードが参照として計算され、すべてのビームの総合的な焦点面において、そのビームウエストはベッセルビームのビームウエストに類似している。
•これと比較して、計算されたビームウェストと焦点深度は、以下のリストに示されている。
•アキシコンの入射光は収差があり、非点収差のガウスシアンビームであるため、生成されたビームは理想的なベッセルビームにはならない。
•興味深いことに、 焦点領域における非点収差的なビームのふるまいはアキシコンペアによって著しく改善される。 これは特に、ビームのyプロファイルのパラメータ に見られる。
•さらに、生成されたベッセルビームの焦点深度は、同様のビームウエストを有するガウシアンビームに比べて4倍に増加する。
レンズより22.576mm での焦点スポット強度
VirtualLabの追加機能
この例では、次の機能の利点を挙げる。
•焦点領域解析:
― プロファイルラインディテクタ
― パラメータ実行ドキュメント
― HWxM ディテクタ
•以下のようなさまざまな有益な結果を得ることができる
— 良質なビーム:ビームサイズ、形
— 焦点深度
— 焦点領域内の光軸に沿ったビームの 伝播 を示す多様な 2D 3D 図
まとめ
•この例では、どのように焦点スポットサイズを小さくすることができるかと、対のアキシコンレンズによって 焦点深度を増加させることができるかを示した。
•焦点領域内のベッセルビームの伝播を解析した。
•VirtualLab は、 物理光学ベースのプロファイルを可能とし 、アキシコンのような特殊な構成 によって生成されたビームの焦点解析も可能 にする。
参考文献
レファレンス
1 D. McGloin, K. Dholakia, "Bessel Beams: diffraction in a new light", Contemporary Physics, Vol.4615 28, 2005.
2 Frank Wyrowski, Huiying Zhong, Site Zhang, Christian Hellmann, „Approximate solution of Maxwell’s equations by geometrical optics“, Proc. SPIE 9630, Optical Systems Design 2015: Computational Optics, 963009, 2015.
Get Started 動画
− Introduction to the Light Path Diagram
− Introduction to the Parameter Run
− Introduction to Parametric Optimization