狭帯域(THz)ラマンユニット|加工・計測・分析 ラマン

加工・計測・分析(ラマン)

狭帯域(THz)ラマンユニット

COHERENT

COHERENT(旧ONDAX)社製THz-Ramanシステムは、お手持ちのラマン分光光度計や顕微ラマン分光器を低波数領域(THz領域)へ拡張可能なプラグアンドプレイシステムです。COHERENT(旧ONDAX)自社製の波長安定化レーザーや超狭帯域ASEフィルター、90/10ビームスプリッター、ノッチフィルターの併用により、ノイズレベル(SNR)の大幅な改善が可能です。これにより、従来のラマンシフトが現れる指紋領域(200cm-1以上の領域)に加え低波数領域(-100〜+200cm-1)の測定も可能となります。これら2領域を同時に計測することにより、官能基などの物質の化学的情報に加え、結晶形などの構造情報を同時に分析・評価することができます。
・励起波長:532nm・633nm・785nm・808nm・976nm・1064nm 対応
・既存のラマン分光光度計/顕微ラマン分光器を拡張可能
・プラグアンドプレイでユーザーを選ばず使用可能
・豊富なサンプルプローブで、固体・液体・粉体 各サンプルに対応

アプリケーション

  • カルバマゼピンの結晶転移モニタリング

    カルバマゼピンIII形を170°Cに加熱すると、カルバマゼピンI形に特異的なピークが時間の経過とともに175cm-1に現れました(朱矢印)。その後の加熱とエタノールの添加によって、カルバマゼピンI形のピークは消失しました(緑矢印)。室温まで冷却するとカルバマゼピンIII形に特異的なピークが168や183cm-1などに確認することができました(青矢印)。以上の結果によりカルバマゼピンI形は175cm-1やIII形は169cm-1などに現れ、さらに非晶質はピークが現れないなど低波数領域の特異的なピークを使えば有効成分を反応容器からサンプリングせずに結晶転移を分析・評価することが可能であることが分かりました。

  • カルバマゼピンのラマンシフト

    上図のTHz-Raman領域(低波数領域)は、Fingerprint Region(指紋領域)と比較してラマンシフトのピークが高く、上記グラフのカルバマゼピン2種の様に指紋領域では識別が困難である物質であっても、THz領域(低波数領域)では明確に区別することが可能です。また、レイリー光を中心として対称にピークが検出できることにより、物質の構造情報と可視光や機械的ノイズと容易に判断することが可能となります。

  • 四硝酸エリスリチルのラマンシフト

    上図は異なる4つのフェーズにおける四硝酸エリスリチルのラマンシフトを示しています。主要構成物質が変化することからラマンシフトを明確に区別できることにより、各サンプルの化学合成経路を明らかにできます。

  • 無水テオフィリンの化学反応

    上図は無水テオフィリンが1水和物へ変化する様子を時間分解3Dグラフで示したものです。時間変化と共にラマンシフトにも変化が生じていることから、化学反応が生じた時間を知ることが可能です。

THz-Raman論文ご紹介

湿式造粒中における共結晶のモニタリングを弊社取り扱いCoherent社製低波数ラマンプローブ(THz-Raman® TR-Probe)を用いて、分析・評価頂きました論文を以下にご紹介致します。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cpb/69/9/69_c21-00302/_article/-char/ja/
Suzuki, N., Fukui, K., Otaka, K., Suzuki, T., & Fukami, T. (2021). Monitoring of Cocrystal Dissociation during the Wet Granulation Process in the Presence of Disintegrants by Using Low-Frequency Raman Spectroscopy. Chemical and Pharmaceutical Bulletin69(9), 877-885.

スペック(製品仕様)

ラマンシステム:TR-Probe/サンプルインターフェース

  • TR-PROBE

    • 各種サンプルインターフェースにより幅広いアプリケーションに対応
    • ファイバーを通じて励起光を入射するため、様々な測定環境で使用可能
  • Transmission Adapter

    • 透過測定/前方散乱光測定が可能
    • サンプルホルダーに錠剤/カプセルを直接入れて計測可能
  • Microscope Mount

    • Leica/Olympus/Nikon/Zeiss 製のラマン顕微鏡に対応
    • 側面にあるスイッチで容易に光路の切替可能

サンプルインターフェース

  • Collimated beam output

    • 平行光に対応
  • Probe with Contact/Immersion Probe Tip

    • 接触式 / 水浸探触式プローブ
  • Probe with Non-Contact Optic

    • 非接触測定に対応

ラマンシステム:TRシリーズ

  • TR-BENCH

    • 各種サンプルインターフェースに対応
    • ターンキーシステムを採用
    • オプションで偏光測定に対応
      (円偏光/二重偏光によるS/P偏光測定)
  • TR-MICRO

    • Leica/Olympus/Nikon/Zeiss 製のラマン顕微鏡に対応
    • スイッチにより光路の切替が可能
    • 偏光測定に対応
      (デフォルト:直線偏光 / オプション:円偏光)

各種フィルター

  • NoiseBlockTM : ASE Suppression Filter(VHG)

    • 励起光(A)の内、中心波長以外の波長(B)は透過
    • サンプルを励起後(C)、レイリー光の90%は励起源の方向へ反射し、ラマン散乱光は100%透過(D)
    • 中心波長:405nm〜1550nm
    • バンド幅: 0.03〜0.15nm、<10cm-1
    • 高い環境耐性:0.01nm/℃
  • NoiseBlockTM:90/10 Beam-Splitter Filter

    • 励起光(A)の内、中心波長以外の波長(B)は透過
    • サンプルを励起後(C)、レイリー光の90%は励起源の方向へ反射し、ラマン散乱光は100%透過(D)
    • 中心波長:405nm〜1550nm
    • バンド幅: 0.03〜0.15nm、<10cm-1
    • 高い環境耐性:0.01nm/℃
  • CleanLineTM:ASE Filter and Laser System

    • FS:超小型フィルターシステム
    • LM:光学アイソレーター内臓
      オプションで様々なファイバーカップリング
  • SureBlockTM : Ultra-narrow band Notch Filter

    • レイリー光を>99.99%(>OD6)減衰
    • ストークス光、アンチストークス光の両方を検出可能
    • 波長 : 488nm〜78Xnm
      (カスタムオーダー可能)
    • バンド幅 : <10cm-1
    • 従来のノッチフィルターと比較して、10倍以上の性能を示す
  • SureBlockTM:XLF Notch Filter System

    • SureBlockを2枚用いる事で、レイリー光を>OD8レベルまで減衰
    • 市販のラマン分光器へのインテグレートに対応

COHERENT

コヒレントは 1966 年5 月に設立されました。1966年夏には、コヒレントの創設者たちは初のレーザ機器の製作を始めました。その僅か4 ヶ月後、コヒレント社製の商業用CO2レーザが、初めてこの世に送り出されました。現在では、レーザ業界で最も多様なレーザ技術を有するリーディングカンパニーとして、カリフォルニア州のシリコンバレーに本社、世界中にオフィスを構えています。コヒレント社は、さまざまな市場および産業に貢献するユニークで革新的な製品ポートフォリオを提供しています。